【54】ともだち

昔、素のままで話せる友達がいた。 四人でよく遊んで、笑って、何でもない話をしていた。 あの頃の私は、もっと自由で、もっと軽かった気がする。
障害を抱えるようになってから、私はうまく言葉を口にできなくなった。 幻聴が強くなり、会って話すこともできなくなった。 手紙を書いたり、幻聴の言う通りに動いてしまったりしているうちに、気づけば連絡は途絶えていた。 その瞬間は胸が少し痛んだけれど、今は四人が恋愛をして、誰かと幸せになっていてくれたらいいと心から思う。
私は恋愛に興味がなかった。 そのせいで迷惑をかけたのかもしれない、とふと思う。 でも、あの頃の私なりに精いっぱいだったのだと思う。
一人だけ、メールアドレスを教えてくれた友達がいた。 けれど、強い圧力のようなものに押されて、私はその連絡先を消してしまった。 呪いのような幻聴の中で、気づけば女性の連絡先が百件ほど入っていて、どれも本当のつながりではなかった。 どこにも連絡がつかず、私は人の信用を失ってしまったような気持ちになった。
それでも、あの四人がどこかで笑っていてくれたら嬉しい。 幻聴の中の彼らではなく、現実の彼らが、ちゃんと自分の人生を歩いて輝いていてくれたら。 そう願う気持ちは、今も変わらない。
過去は戻らないけれど、思い出は静かに胸の中で灯り続ける。 あの頃の私も、あの頃の友達も、確かに存在していた。 その事実だけで、少し救われる夜がある。

