㊳『両親のやさしさ』

両親が、お米と水をたくさん持ってきてくれた。
玄関に立つ二人の姿を見た瞬間、胸の奥がじんわり温かくなった。
重たいはずなのに、そんな素振りも見せずに「持ってきたよ」と笑ってくれる。
その優しさに触れるたびに、私はいつも言葉にできない気持ちになる。

昨日のお弁当は、私の大好きなお寿司だった。
ふたを開けた瞬間、思わず顔がほころんだ。
ひとつひとつ味わいながら食べると、
「美味しい」という気持ちと一緒に、
両親の気遣いが胸の中に静かに広がっていく。

ただ、二人はもう七十を過ぎている。
72歳と73歳。
その年齢を思うと、遠いところまで来てもらうのが少し怖くなる。
近場ならまだ安心できるけれど、
無理をさせてしまっているのではないかと、どうしても心配になる。

お米や水だけでなく、お菓子まで持ってきてくれた。
「これ好きでしょ」と言われて、
その一言が胸に深く染みた。
優しいな、と素直に思った。

私も私なりに頑張っているつもりだ。
怖さはあるけれど、アマゾンでお米やふりかけを買ってみた。
食べ物をネットで買うのは初めてで、
箱を開けるのが少し怖い。
ちゃんと届いているのか、
変なものじゃないか、
そんな小さな不安が頭をよぎる。

本当は、郵送にご飯を頼るのはあまり好きじゃない。
できれば自分で買いに行きたいし、
両親に頼りすぎたくない。
でも、どうしても必要なときは最終手段として頼るしかない。

お金も貯めなくてはいけない。
両親に負担をかけている気がして、
申し訳なさが胸に残る。
それでも、両親は何も言わずに支えてくれる。
その優しさに甘えてしまう自分がいて、
でも同時に、いつかちゃんと返したいという気持ちも強くなる。

お米と水の重さよりも、
両親の思いやりのほうがずっと重くて、
そして温かい。
その温かさに支えられながら、
私は今日も少しずつ前に進んでいる。