㉞『ビンゴゲーム』

ビンゴゲームというものは、単なる遊びのはずなのに、どうしてあんなにも心を弾ませるのだろう。数字がひとつ読み上げられるたびに、会場の空気がふっと揺れ、誰かの息が止まり、また誰かの声が弾む。あの独特の緊張感と期待感が混ざり合った空気は、何度経験しても飽きることがない。

私もこれまでに何度かビンゴに参加したことがある。けれど、景品に当たった記憶はほとんどない。カードが埋まっていく楽しさはあっても、最後の「ビンゴ!」の声を上げるのは、いつも誰か別の人だった。それでも、私はその時間が好きだった。みんなで同じ方向を見て、同じ数字に一喜一憂するあの瞬間が、なんだか心地よかった。

そんな私に、この日は思いがけない幸運が訪れた。一等賞。
自分の耳を疑うほどの大当たりだった。

驚きと嬉しさが一気に押し寄せてきたけれど、同時に胸の奥に小さな「申し訳なさ」が芽生えた。みんなで楽しむ場で、自分だけが大きな景品を手にしてしまったような気がして、どこか気恥ずかしくなったのだ。私は昔から、嬉しいことがあると同時に「こんなに喜んでいいのかな」と思ってしまう癖がある。きっと、周りの人の気持ちを考えすぎてしまうのだろう。

でも、景品を見た瞬間、その気持ちは少しずつ温かさに変わっていった。とても美味しそうで、思わず笑顔になってしまうような品物だった。これをグループホームのみんなで分けて食べたら、きっと喜んでくれる。そう思うと、胸の中にじんわりとした幸せが広がっていった。自分がもらった幸運を、誰かと分かち合えるというのは、こんなにも嬉しいものなのだと改めて感じた。

会場を盛り上げてくれた方々にも、心から感謝している。
あの場の空気を作ってくれたのは、間違いなく彼らの存在だった。
私はどうも盛り上げ役が得意ではなく、変な言葉を口にしてしまいそうで不安になることがある。場を明るくしようとして空回りしてしまうのではないか、そんな心配がいつも頭をよぎる。

けれど、この日はそんな心配を忘れてしまうほど自然に楽しめた。
盛り上げることができなくても、ただそこにいて笑っているだけでいい。
そう思わせてくれる空気があった。
その優しさに包まれて、私は自分らしくいられた気がする。

そして、ちょっとした遊び心で押したサングラスのスタンプ。
あれは私だ。
自分でも少し照れくさいけれど、思い返すとふっと笑ってしまう。
あの小さなスタンプにも、私なりの「楽しかったよ」という気持ちが込められている。

ビンゴゲームは、ただの娯楽かもしれない。
けれど、この日はそれ以上のものを私にくれた。
幸運と、周りの人たちの温かさと、分かち合う喜び。
そして、自分の中にある優しさや気遣いを、改めて感じさせてくれた。

ツイていたなと思うし、また機会があれば、あのワクワクをもう一度味わいたい。
次にビンゴカードを手にするとき、きっと私は今日のことを思い出して、少しだけ胸が温かくなるのだろう。