㊼『てぃっしゅ』

最近、アマゾンで買い物をした。 買ったのは、特別なものではなく、ただのティッシュ。けれど、その「ただのティッシュ」が手元にない数日間は、思っていた以上に落ち着かないものだった。

家のストックが切れてから、私はずっとハンカチでなんとかしのいでいた。けれど、ハンカチは何度も洗わなければならないし、すぐに湿ってしまう。幻聴のせいで目が痛む日もあって、涙や汚れを拭くたびに「ティッシュがあればなあ」と思った。 普段は当たり前のようにそこにあるものが、ないだけでこんなに不便になるなんて、少し驚いた。

アマゾンにはポイントが貯まっていた。 現金は使えない状況だったから、そのポイントを使ってティッシュを買うしかなかった。最初は「チークを買ったら?」と言われたけれど、最近は化粧をほとんどしない。今の私に必要なのは、頬を彩る色ではなく、生活を支える紙のほうだった。

注文を確定した瞬間、胸の奥がふっと軽くなった。 「買えてよかった」 そんな小さな安堵が、じんわりと広がった。

ティッシュが届くまでの数日は、相変わらずハンカチでしのいだ。けれど、もうすぐ届くというだけで、気持ちはずいぶん違った。 生活の中の小さな不便は、意外と心に影響する。逆に、小さな解決が、思っている以上に心を救ってくれる。

ティッシュひとつで幸せを感じるなんて、少し笑ってしまうけれど、そんな日常のささやかな救いを大切にしていきたいと思った。