㉖来夢の午後』

来夢の午後、白い光のなかで
昨日、私は来夢へ向かった 少し早起きして、まだ眠たいまま グループホームを出た朝 空は晴れていて、風は少し熱を帯びていた
知らない場所、知らない人たち でも、扉の向こうには やさしい笑顔と、あたたかな声 「おはよう」「どうぞ、こちらへ」 100円で手にしたお菓子と飲み物 その甘さが、心の緊張を少しだけほどいてくれた
けれど、待ち時間は長く 体も心も、じわじわと疲れていった 帰り道、陽ざしが強くて 頭が重くなり、熱中症のような感覚に襲われた 「無理しすぎたかな」 そんな思いが、胸の奥で静かに揺れた
茶話会では、にぎやかな声が飛び交っていた みんな楽しそうに話していて 私はその輪の外から、そっと耳を傾けていた 入りたいけれど、入れない 言葉が見つからない でも、それでもいいと思った 私は、そこにいた それだけで、今日は十分だったのかもしれない
思い出すのは、実家でのカフェ&ミュージック 音楽が流れ、コーヒーの香りが漂い 言葉がなくても、心が通じ合うような空間 あの場所では、私は自然に笑えていた
でも、来夢もまた 違うかたちのやさしさがあった 「水分とってね」と声をかけてくれた人 「また来てね」と手を振ってくれた人 そのひとつひとつが、私の中に 小さな光を灯してくれた
会によって、空気は違う でも、私は私の居場所を 少しずつ見つけていける 無理に合わせなくてもいい 私のペースで、私の言葉で いつか、輪の中に自然と入れる日が来るかもしれない
昨日の午後、私は 疲れて、戸惑って、それでも前に進んだ それは、私の中にある希望が 静かに息をしている証
白い光の中で 私はまた、次の一歩を探している たとえ小さくても その一歩が、私を未来へ連れていってくれると 信じている


